Africa想い出部屋

Mchuzi (ムチューズィ)、Karanga (カランガ) 他

東アフリカ風シチュー

東アフリカのお料理は、西アフリカのそれと比べて、よく言えばシンプル、悪く言えば単調と言われます。

確かに、西方面のような独特の調味料等は少ないかも知れません。
でも、タマネギとトマトを主体にした塩味のシンプルなシチューは、飽きが来ず、毎日食べても大丈夫なぐらい、美味しいです。

お味と同じようにお料理の名前も単純です。素材の名前そのもので事足りています。
でもこういう呼び方、関西の方にはお馴染みですよね。
鰯の炊いたん、お揚げさんの炊いたん、子芋の炊いたん、なんて。

ムチューズィ、カランガ (東アフリカ風シチュー)

材料; 肉 1キロ
タマネギ 1
ニンニク 1かけ
ギー(又は、ショートニング) 大さじ 2
完熟トマト 3 (よく熟れたものがなければ、ホール・トマトで代用)
ダニア 適量 (コリアンダーの葉。香菜)
塩 小さじ 1
スパイス類 適量 (手持ちの好みのものを、好みの量)
作り方; 肉は好みの大きさに切り、堅ければ先に下ゆでしておく。
つぶすかみじん切りにしたニンニクとタマネギを、ギーを入れた鍋で色づくまで炒める。
ざく切りしたトマトを加え、さらに炒める。
肉、水(肉を茹でた場合はその茹で汁)、塩を加え、肉に火が通るまで煮る。
火が通ったら、スパイス類とダニアの葉を粗くみじん切りにしたものを加え、さらに5分ほど煮て出来上がり。
トピック; インド料理のように、先にスパイス類を炒めることはあまりしなかったように思います。また、多くの場合 ビンザリ(binzari、bizari)と呼ばれるミックス・スパイスを使うようでした。これの正確な中身はわかりませんが、黄色っぽいものから、赤に近いオレンジ色まで、いろいろな種類があるようでしたが、特にこだわりはないようでした。
鶏肉を使う場合は、先に炒めた方が美味しいと思います。
ココナツ・ミルクや、甘みのないピーナツ・バターを適量加えても美味しい。その場合は、加えたあとは煮込みすぎないように。

カビチ (キャベツのお料理)

材料; キャベツ 小さめのもの 1
トマト 2
タマネギ 1/2
サラダ油 大さじ 2
塩 適量
作り方; 粗みじんに切ったタマネギを、分量のサラダ油で炒める。
トマトと塩をを加え、十分に炒める。
やや太めの千切りにしたキャベツをその上に載せおいて、火をごく小さくする。
キャベツに火が通って柔らかくなったら、混ぜ合わせてできあがり。
トピック; キャベツを入れてからは、決して混ぜてはいけない。
コリアンダーの葉を、火が通って混ぜ合わせるときに、入れてもよい。
キャベツをトマトの上に載せたとき、好みの量のクミン・シードやキャラウェイ・シードを振り入れておいても美味しい。

バミア (オクラの料理)

材料; オクラ
タマネギ 1
ニンニク 1かけ
ギー(又は、ショートニング) 大さじ 2
完熟トマト 3 (よく熟れたものがなければホール・トマトで代用)
ダニア 適量 (コリアンダーの葉。香菜)
塩 小さじ 1
スパイス類 適量 (手持ちの好みのものを、好みの量)
作り方; つぶすかみじん切りにしたニンニクとタマネギを、ギーを入れた鍋で色づくまで炒める。
ざく切りしたトマトを加え、さらに炒める。
水、塩、オクラを加え煮る。
オクラに火が通ったら、スパイス類とダニアの葉を粗くみじん切りにしたものを加え、さらに5分ほど煮て出来上がり。
トピック; いわゆる「おかず」は、野菜の名前そのものを付けて呼ばれることが多かったです。そして、一般の家庭では、お肉を入れない場合が多いように思いましたが、肉好きの私としては、ほとんどのものにお肉を入れていました。このバミアのレシピも、私のオリジナルにはお肉が入ります。

ムチューズィ好きの独り言

お料理の味付けはトマトとタマネギ、これが日本で言う昆布やかつおの出汁のように、必ず使われます。親戚の男性が言うには「トマトとタマネギが入っていなければ料理ではない。それは、単に火を通したものだ」そうです。確かに、タマネギとトマトを、日本人の感覚からするとたっぷりめの油で炒めたものは、とてもよい調味料でした。
これがベースで、好みのお野菜が入りますが、お野菜の種類によって入れるタイミングが違うものの、至ってシンプルなレシピです。一つ知っていればすべて作れます。

カランガ karanga は、最初すごい誤解をしていました。ピーナツ karanga を使ったお料理だと思っていました。
義姉の1人がとても料理が上手な人で、彼女のお家でご馳走になったとき、ココナツ・ミルクの替わりに、ピーナツをミキサーにかけたものを使った料理がとても美味しくて、それが印象に残っていたものですから、ケニャで言うカランガは、そういったお料理だと思っていたのです。ところが、ナイロビでカランガを食べると、まったくピーナツの味がしません。気が付いたのはずいぶんたってからで、ナイロビのキクユの友達の家に泊まったときでした。彼女が料理するのを手伝いがてら見学していたとき、レシピの説明を受けて気が付きました。
スワヒリ語で炒めるは kaanga といいますが、キクユ語では karange といいます。これはその料理法からついた名前だったようで、ムチューズィとまったく同じ物でした。

私が入院していたとき、例の料理上手な姉が、何か差し入れてやろうと言ってくれました。すかさず、キサンブという料理を頼みましたが、これは、キャッサバの若葉を細かく砕いて、煮込んだものです。私はフード・プロセッサーにかけていましたが、通常は臼と杵でつぶしますし、下ゆでにも時間がかかるので、結構大変なお料理です。鉄分豊富そうな味で、とても美味しいものでしたが、姉からは「キサンブを病室に持って来いと言う白人なんて、あなたぐらいよ!」と笑われてしまいましたが、本当に美味しいものです。日本ではこの若葉が手に入らないのが残念です。以前にTVの番組で、あるタレントさんがマダガスカルへ行って、土地の方のお家でご馳走になっていましたが、まずそうに食べていました。その家のおばあちゃんが作っていたんですが、とても美味しそうに見えたんだけれどなぁ。
これは、ナイロビでも、食べないと言われました。先年、マレーシアに行った時民家の庭先に植わっていたキャッサバを見つけて、あの若葉は食べますか? と聞いたところ 「そんなもの食べるわけ無いだろう! 馬鹿にすんなよ」というような顔でNO と言われて、すごいショックでした。

新しく雇ったお手伝いさんの料理が、まったくコクが無くって、不思議に思っていたら、すべての材料を炒めずにお鍋に放り込んで、煮上がったところでショートニングを入れていたことが判明。チャガ人の親友の話では、炒めて調理すると油をたくさん使うので、貧しいお家の場合はすべてを一緒に水炊きして、最後に油を少々入れて仕上げる場合が多いから、ちゃんと教えなさい、と言われたことがあります。
確かに、雇った人の過去の生活状況で、レシピがかなりシンプルだったりするので苦労しました。でも教えると、じゃまくさがってやっぱり同じレシピで作ろうとする人、反対に天下御免で油を使いまくる人がいて、どちらも閉口しました。

ウガリとムチューズィと言うのが、一般的な食事ですが、このウガリ、最初は苦手でした、作るのも食べるのも。
食べる方は、本当にお肉たっぷりの美味しいムチューズィがないと、ウガリが喉につかえてしまって、食べられなかったんです。これはタンザニアにいる間ずっとそうでした。或る年、連れ合いとナイロビのアパートメントに泊まっているとき、彼が作ってくれたウガリがとても美味しくて、それからは大好きになりました。山羊の焼き肉とウガリという組み合わせも、今では食べられるようになりました。
作る方は、、、、。タンザニアにいる頃、人間用と犬用と、ウガリのトウモロコシの粉は2種類用意しておりました。ある時、人間用の粉をたくさん買い込んだところで、お手伝いさんを辞めさせました。山ほどある粉を見て、見よう見まねでウガリを作ろうと思ったのです。だって、こねるだけなんだから、出来ないわけはないでしょう。
さ、出来上がって子供達に先に食べさせました。ところがこれが食べない。でも、お母さん方はおわかりでしょうが、子供達って、なかなかちゃんと食べないことってありますよね、日によって。しかって、しかって、いつもの倍以上の時間をかけて食べさせました。それから、後かたづけをして、犬の餌を作りました。犬のもウガリにしました。ところが! 犬が食べないのです、これが。子供達はしかれば食べますが、犬はそうはいかない。おかずの部分だけ食べて、ウガリには口も付けないのです。お手伝いさんが作ると食べるのに、です。そこで、賢明な私は気づきました。私のウガリが悪いんや!
慌ててお米を洗い、夫が戻るまでにご飯を炊きあげましたが、子供達、ごめんね。