ごらん、あれが塩の峰ケニアだ!
小学校の1・2年の時と記憶しているのだが、夏休みに、子供向けダイジェスト版になったアフリカ探検記を読んだ。
そのタイトルが、いまも鮮明に残っている「ごらん、あれが塩の峰ケニアだ!」というものだった。

雪を知らないアフリカ人は、山頂に雪を頂くケニャ山を指さし、あの山の上の白いものは塩だといった。だがそれは、輝く氷河であった、というのである。
これを読んで、純朴かつ限りなく無知な小学校低学年の私は、人生最初の大矛盾に突き当たった。
ひとつ;
なんで赤道直下のアフリカに雪が降るのか?
アフリカは暑い暑い、熱い熱い大陸である。だって赤道直下なのだから。そんなところに雪が降るわけはないではないか。私が住んでいる神戸でさえ、六甲山に雪がないのだから!
だから、これはきっと探検隊のおじさんたちが間違えているんだわ。
ふたつ;
塩は、海の水から作るものだと習った。
その場所を塩田といって、すごい手間暇をかけて作るそうだ。だから、高い高い山の上、そんなところに塩などあるはずがない。だって、この山は富士山より高いそうではないか。富士山は六甲山よりも高いんだし、塩は六甲ではなく赤穂で作っているんだから。
きっと、このアフリカ人のおじさんたちが間違っているんだわ。
でも、両方間違えているんだったら、この本の言いたいことはなに?
塩でもない、雪でもない、ではそれは????
読み進むうちに解説があって、アフリカでも高地には雪が降ることを知った。
すごい! 見てみたい。神戸にもめったに降らない雪が降るアフリカ。イギリス領東アフリカ。
しかし、50年ほども前のことである。自分が一生の間にアフリカに行く日が来るなどということは、期待もできない時代であった。
ただ挿し絵の、山頂に氷河を頂くケニャ山と探検隊員、山をしっかりと指さすアフリカ人、それが強く心に焼き付いた。
これが私の記憶の中の一番古いアフリカである。
衝撃の真実
しかし、後年、衝撃の真実を知った。
あの挿し絵の山は・・・。もうお気づきでしょう。
あれは、ケニャ山ではなく、キリマンジャロ山でした。

ケニャ山; | キリマンジャロ山; |
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Googleの航空写真を見る 標高は5199mとアフリカ大陸第2の高峰。ケニャ中部に位置する火山。 キリマンジャロよりは低いものの、 その姿は険しくそびえ神々しい。 |
Googleの航空写真を見る 標高5895mのアフリカ大陸最高峰。 タンザニア北東部に位置する火山。 裾野をひいたすり鉢型の美しい山容で、 なだらかさ故か、高さを感じさせない。 |
どちらの山も、地域一帯が国立公園に指定されており、ケニャ山国立公園は1997年に、 キリマンジャロ国立公園は1989年に、それぞれ世界自然遺産に登録されました。 |